サンクリストバルが崩壊する

サンクリストバルが崩壊する[アップデート済]

San Cristóbal Falls Apart [UPDATED]
2014年2月24日 Emiliana Duarte @emiduarte

ジミー・ヴァルガスに別れを告げる母親

今朝、タチラ州知事*1がエアコンのきいたカラカスのラジオブースで、彼の在任中の抗議運動では一人のゴチョ*2として命を落としていないのはどういう訳か、という気楽な会話を楽しんでいたちょうどその頃、ジミー・ヴァルガス34歳はデリカテッセンでの仕事からいつものように帰宅途中であった。彼が働いているモールを国家警備隊が包囲していたのを見て、彼は、ビルの2階に向けて警備隊がやたらめっぽう発砲する催涙ガスとゴム弾から避難する場所を探した。

(訳注 1*:タチラ州とはベネズエラ西部に位置する州で、サンクリストバルが州都。州知事はヴィエルマ・モラVielma Moraで、彼はチャベス派として知られる。)
(訳注 2*:アンデス地方の人のこと)

たった一度、何が起きているのかを見ようと外を覗くタイミングを誤ったのが命取りになった。目撃者によれば、ゴム製の鹿玉と催涙弾で顔を撃たれた後、意識を失い2階のバルコニーから落ちて亡くなった。最も近いバリケードに配備されていた近隣住民が彼を救出しに来て、医者を呼ぶように手配した(病院には外科医がいなかった)。

手遅れだった。彼の母親はジャーナリスト立ちに向って「私は悔やみの言葉なんていりません。息子の分まで戦い続けて下さい」と言った。

ピケテーロ間のチームワークは街では普通のものとなっており、国からはほぼ見捨てられていたので自力で解決するしかなった。公共交通の労働者は通りで安全が確保できないという理由でストライキ中であり、自治体の警察の力では他の州から連れて来られた国家警備隊を止めることはできない。そして怪我を負った被害者たちは病院に行くのを拒む。なぜなら、あまりに多くの人が、担架に乗せられて病院に到着したところで政府関係者に勾留されたからだ。

ジャーナリスト達はくりかえし脅されており、匿名の情報提供者でもある街の住民の中に保護を求めている。情報網と信頼に基づく結束こそが、ここ数日サンクリストバルの住民を守っている。戦争状態の中で国から捨てられてしまい、人々は、生まれてこの方ずっと知り合いの者同士や、この状況を共有している見ず知らずの他人と共に協力し、団結するという暗黙のシステムに頼っているのだ。

ヴィエルマ・モラ自身が告白しているように、彼でさえ治安部隊によって行われている“度を超えた行為”を止めることは全くできなくなっているのだ。実際のところ、当然のように誰も彼に報告などしていないのだ。命令をしている人々はカラカスのフエルテ・ティウナ*3の後ろにぬくぬくと収まっているのだから。誰も州知事に意見を求めたりしないのである。

(訳注*3:フエルテ・ティウナはカラカスにあるベネズエラの軍隊の本拠地)

50歳代のグアリンバ*4を築く人たち

「女の人の叫び声と銃声で目が覚めたのは午前5時頃でした。」サンクリストバルの中産階級の住む地区ラスアカシアスの若い店主は言う。これは普通ではない。“普通”なのは、午後11時頃に治安部隊がやってきてあちこちに向って発砲することだ。でもこの時間はおかしい。

ほとんどが年配の住人である彼女のコミュニティは街の中でも最も回復力のあるバリケードが作られている。

ある朝のラスアカシアス路上での収穫

ここのバリケードが特異なのは、学生ではなく、主婦達や現役引退した人達が配備されていることだ。住民は、軍隊とその鎮圧に逆らって毎日毎日バリケードで通りを封鎖している。この店主は私に「女性たちがね、いつもバリケードの外に出てくるのよ。治安部隊は女性だったら傷つけることはないだろうと思って。」と話した。

今までの数週間、彼らのコミュニティはバリケードを築いては警備隊が来てそれを破壊するのを待つというシーシュポス的なゲームをしていたのだが、今朝の特に残酷で明らかにより熾烈になった国家警備隊の攻撃の前では、女性であることを盾にすることは無理だった。

中産階級の住む地区の人々は、国家警備隊が居住地区中に催涙ガスやゴム弾や大口径の銃撃を浴びせかけている間、一日中ずっと家に閉じこもっている。誰も止めにこないために何時間も鳴りっぱなしの店のアラームは、最近ではサンクリストバルの非公式のサウンドトラックになっている。

(訳注*4:グアリンバとはベネズエラの言葉でバリケードのこと)

噂の生産工場

そうしている間にこの話は噂と都市伝説の間のような形で出回り、メディア統制と抗議運動参加者が互いに連絡するために使用されていたスマートフォンのアプリZelloの規制によって、高まる不確実性に拍車をかけた。

家で静かにサンコチョを食べている家族の元に国家警備隊が押し入り、彼らに暴力を震い、その携帯を奪っていったという話。治安部隊に対抗するため、地方の抗議運動参加者が、火炎瓶から迫撃砲に至るまで手作りの武器を使っているという話。地元の悪党がこのカオスの中で誰も止める人がいないので、ドラッグストアや食料品店を堂々と略奪してまわっているという話。街の中心にあるConatur(国立観光委員会)本部が燃えているという話。

その全てをひっくるめると完全な無法地帯と無政府状態の空気となる。私たちが話したあるアンデス地方の人はこれを“無法地帯のもの”と言い表した。

これは進行中の国家警備隊と地元民の間の衝突の話だ。警備隊は鍋やフライパンを叩いて抗議する家の窓ガラスを割り、家の中に催涙ガス弾を放り投げる。彼らはただ脅し威嚇するために、家の中に押し入り、ゴム弾を空に向けて発砲する。

グアリンバの私有化

そして街の別のエリア、バランカスのバリオ*5のある一つのグアリンバなどは本来の目的とは離れたものになっている。その間に合わせの道路封鎖の番をしているのはもはや学生ではない。そこを通過する際に通行料を課すことにビジネスチャンスを見出した第三者なのだ。つまり、このかつての抵抗の砦は、今となってはずる賢い日和見主義者達の新たな腐敗の形に歪んでしまっているのだ。バイクに乗って武装した男達がバリケードを取り囲み、暴力にうまく適合し、いつもよりさらに処罰の恐れも少ないため、普段から行っている犯罪行為にこの混沌とした状況を利用しているのだ。それは近隣住民にとっては全く別の心配の種が加わったことになる。彼らは二度やられるのだ。まずは国家警備隊によって、それからグアリンバを管理するチョロス*6によって。

(訳注*5:バリオとはスラムや貧民街のこと)
(訳注*6:チョロスとは犯罪者のこと)

ある近隣住民は言う。「今、私たちには二つの敵がいます。治安を守る集団と犯罪を犯す集団です。」

それでもなお、店を閉めるのはコレクティボスや国家警備隊が怖いからではない。「もし3ヶ月間店を閉めなければならないとしても、それで何かが変わるんだったら、私は喜んで店を閉めますよ」とその若い店主は言った。そして彼女はもう10日間店を開けてないのだと付け加えた。

ヴィエルマ・モラの自己の過失を認めたことについてどう思うか聞いたところ、彼女はこの怒りの爆発は遅かれ早かれ起こるべきものだったと言う。「私たちが住んでいるのは汚職が蔓延している国境の街です。私が思い出せる限り、私たちはずっとバチャグエロス*や密輸業者や麻薬密売人、民兵やゲリラの人質になってたんです。」

私たちの情報提供者の一人は言った。「どれもあんた達が想像しているよりずっと過激だよ。これが近々終わるとは思えないね。」

アップデート: このCNNのビデオはジミー・ヴァルガスは建物の屋根から滑り落ちたが、実際には国家警備隊の発砲したゴム弾によって撃たれたのではないということを示唆している。しかしながら、目撃者の話、国内外のニュース報道、そしてジミー自身の家族の証言は、彼の死の原因は国家警備隊の攻撃にあるとしている。証拠はいずれにとっても決定的でないので、私たちは今後の展開に応じて調べていくつもりである。

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