ベネズエラでぼろ儲け

1ドルが17万5000ドルに !?

The Parallable of the 175000 greenback
2014年3月4日 Francisco Toro

仮にあんたがたった一ドルの紙幣だけをもって、一発儲けてやろうとベネズエラに入国したとしよう。いますぐ使えるいかさまに手を染めるとする。そうすれば、あんたはその紙幣をいくらの通用貨幣に変えることができるだろう?

ちょいとばかり常識を働かせれば、175000ドルそこらという答えが出るだろう。
そう。ここじゃそうなのだ。

まず、一ドルのピン札をブラックマーケットの貨幣取引所に持っていって、自分で85ボリを購入1する。

註1) ベネズエラの貨幣はボリバル・フエルテ。ベネズエラ人は会話では、省略して「〜ボリ」と言うことが多い。高いインフレを緩和するために2008年に導入され、「ボリバル」から現行の「ボリーバル・フエルテ(強いボリバル)」に移行したのだが…

それはそうと、旅の前に旅行保険に加入していることは確認したか?

そうか、いいぞ。

じゃあ今度は医者のところに行って、自分で85ボリ分の診察を受ける。言い訳はなんだっていい。でもレシートをもらうのを忘れてはいけない。帰国後、加盟している保険会社が要求金額85ボリバルを、公定レートであんたに返済する。この時、支払った6ボリバルと30セントにつき、1ドルが返済されることになる。

それで医者の後は、あんたの1ドルはもう既に13ドル50セントになっている。悪くないだろう。

でも、ここで満足する俺たちじゃあない。言うまでもなく、次は、その13ドル50セントをちょうどあの貨幣取引所に持ちかえって、自分で1150ボリバルを購入するんだ。

そしてその1150ボリバルを信頼できるカラカスの宝石商のところに持って行く。そこで、その金額で18カラットの金を5.7グラムほど手に入れる。つまり、アメリカ本土に戻れば、この5.7グラムの黄金には182.29ドルの値がつく。
カラカスのブラックマーケットのドル取引所は、おそらくこの時点であんたからの電話を待っていることだろう。黄金でもってあんたが獲得した182.29ドルは、15,295ボリバルになる。

面白いだろう?

でもたぶん、あんたはここで少しもどかしくなってくるかもしれない。無理も無い。18,290%もの利益をリスク無しで、それも実際の仕事をせずに手にするのは、ちょっと決まりが悪いんだろう。それじゃあこうしよう。あんたは「実質の」お金をつくりたいんだとしよう。

そのためには、その膨大な価格になった利益を「実際に」取引へもって行かなければならない。
ベネズエラのような石油国家では、すなわちそれはただ一つのことを意味する。
そう、ガソリンだ。

ベネズエラのガソリンは、リットル当り0.097 ボリバル2という笑いを誘うような価格。あんたが持っているポケットを焦がして穴をあけてしまうくらいの15,495ボリバルがあれば、159,742リットルの無鉛ガソリンが買える。それは42,200ガロンかそこらだ。

註2) 0.097ボリバル≒0.0046円( 2014年3月12日現在)。ベネズエラでのガソリンの価格はほぼ無料に等しい。実質はガソリンを売るよりも生産する方にコストがかかっているためガソリン価格はマイナスである。このガソリンの低価格設定がベネズエラ経済に大きな歪みを与えている。

続いて、そのガソリンをタンク車に詰め込んでコロンビアまで運ぶんだ。そこでは、あんたの42,200ガロンは1ガロンにつき4.14米ドルで売れる。

さあて、とどのつまり、ベネズエラ入国時のあの小ぎれいなピン札1ドルは、ここで174,905ドルになっている。

基本的にはなにもせずに、1,700万%の利益率をあげることができるってわけだ。

これは単なる思考実験ではない。今日の、ベネズエラ経済の主要な現実なのだ。

もちろん、問題点はある。こうした詐欺の一つ一つが実現するには、まず、最も肝心なこととして、政府筋の黒幕から逃れられる通行証を持っている必要がある。ガソリンを国外へこっそり持ち出すには、1人(ないし10人)の国家警備隊を買収しなければならない。それに、北に向かう飛行機にそんなにも多くの金を積み込むには、空港のガードマンに口止め料を支払わなければならないだろう。それから、公定レートの現実の数値は、ドルを買おうとするその度ごとに、当局者(おそらくはオリーブ色の服を着ているだろう)の命令によって異なるだろう。

抗議活動が路上で高まりをみせるにしたがって、次のこと見逃さないことが肝要だ。
それは、こうした輩が守っているのが、これまで述べてきた不正な金儲け3だということだ。

註3)このブログ記事はチャベス主義政権が作り上げた社会体制と経済の仕組みを利用して、ベネズエラの軍隊がいかに私腹を肥やしているかを辛辣に風刺したフィクションである。

そして、彼らは自分たちの利益を失うまいとして暴力を行使する。その暴力は、彼らが得られるものの大きさを考えれば十分に割が合う4

註4)ベネズエラでの一連の抗議デモについて、武器を持たない学生相手に軍隊が戦車や戦闘機を持ち出すなど、度が過ぎる対応をしているという批判が多いが、筆者はそれを軍部にはそこまでするだけの理由があることを示唆している。

※記事内の、ベネズエラ=ドル為替レートおよび金銀価格の数値は、記事の書かれた3月5日現在のものです。

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