二つのチャートに見る暴行事件の横行
The Violence Epidemic in Two Charts
2014年5月26日 Francisco Toro
米国ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)は世界中の死亡と傷害の原因を簡単に分かりやすく視覚化したデータを公開している。ベネズエラのページはなんともショッキングだ。
鍵となる基準の一つは損失生存年数(Years of Life Lost)*である。これは人々の寿命の統計的な基準で、ある人がもし早世しなかったとすれば、あと何年生きられるはずだったかを表す。
*訳注)損失生存年数は、疾病や障害によって早死する死亡率と死亡時点での平均余命の関係から導かれる指標である。
IHMEの方法で見ると、X軸に沿って年齢層が示され、Y軸はその年齢層の人々の死亡から産出された何千年単位の損失生存年数を示している。少しよく見てみれば、このチャートの意味が分かってくる。
これがベネズエラの1995年における損失生存年数である。
桃色の一番上の帯は各年齢層ごとに“故意の負傷”(要するに殺人と自殺のこと)による損失生存年数を表している。
そして、これが同じチャートで2010年を表したもの。
<訳者解説>
この二つのチャートが表しているのは、相対的に見て1995年から2010年の15年間でベネエズエラの治安は相当に悪化したということだ。特に犯罪に巻き込まれて亡くなるティーンエイジャーから35歳未満の若い人々がかなり多いことを示している。
チャベスが政権に就いていたのは1999年〜2013年である。
南米で治安が悪いというイメージを持っている人は多いだろうが、ベネズエラの状況はその中でも最悪の部類に入る。
ちなみに現在ワールドカップが行われているブラジルの2010年の損失生存年数はこうなっている。
では日本の2010年の損失生存年数はどうなっているのだろうか。相対的に見て、日本では若者が犯罪に巻き込まれて死ぬのは稀だと分かる。
2014年6月27日 更新済