ベネズエラの血塗られた一週間

ベネズエラの治安の悪さはこのブログでも何度も伝えてきましたが、この8月のカラカスは特に血なまぐさい一ヶ月となったようです。カラカスのベジョモンテの遺体安置所(主に変死体が運ばれる遺体安置所)には、この8月だけで少なくとも405人の死体が送られてきたとか。

ちなみに2014年1月1日から8月29日までのカラカスの遺体安置所に送られてきた死者の数は3242人だそうです。ベネズエラ全体ではなくカラカスだけでこの数の多さです。8月9日の段階で遺体安置所に送られてきた人は2839人で、これによりカラカスは世界で5番目に危険な町となりました。

今回は実際にベネズエラでどのような事件が起きているか、その事例の一部を紹介します。


銃弾の一週間

The Week in Bullets
2014年8月10日 Raúl Stolk / August

週末まとめ読みコラムの名前を思いついた。銃弾の一週間だ。たとえこれが血なまぐさい事件ばかりを扱っているようにみえても、三面記事を意図したものでないのでご留意を。願わくば、来週にはまた鶏肉のことや支払いのことや、ユニコーンなどなどについて書ければなぁと思っている。それまでは落ち着いて、ゲロ袋を用意。

ビリー、銃を取れ

レイ・ダビド・ラ・ボジェラで、朝食中の畜産農家が銃殺された。カフェに男がやってきて、銃を取り出し、被害者の胸部を6発撃った。この話は銃撃の後すぐにTwitter上で話題になったこともあり、当局は「殺し」とみられると発表した。事件後数時間で、この殺人は麻薬取引に関連づけられていたため、幸運にも日常の犯罪として扱われることがなかったのだ。この点はまぁ、良かったといえる。

今週のボディ・ハッキング・ストーリー

カラカスのマデレロの角とプエンテ・ヌエヴォの間辺りのゴミ箱で、女性の裸の胴体が発見された。頭と脚、腕などはどこにも見つかっていない。近隣住民はマネキンと考えていたが、違った。

これは過去数ヶ月に見られたボディ・ハッキング殺人のパターンと同じで、どうやらハリウッドの資本主義者によるホラー映画の影響を受けた連続殺人犯である。一般的な犯罪ではない。

グアラタロ地区

Barrio-GuaratarGuarataroここ数週間、カラカスのグアラタロ地区(カティアの西側、23デ・エネロ通りの近く)ではギャングの抗争が続いている。この区域は、3日間連続で、二つの麻薬組織による激しい銃撃戦のただ中にあった。近隣住民は窮地に陥っている。

それが、こんな所にパレスチナの子ども達を連れてくるっていうんだから狂ってる。*

訳注*ベネズエラ政府はここのところイスラエルを積極的に批判し、パレスチナの子どもたちの受け入れを表明している。

グアロランドの殺人

Novio-Angela-Medina-500x300今週のトップ記事の一つが、アンジェラ・メディナの冷酷な殺人だ。メディナはララ州のロースクールで法律を学ぶ若いモデルだった。
事件が明らかになるにつれ、結婚式の音楽としても人気の男性アイドルグループ「ロス・ジェガレス」の歌手でダンサーのダビド・エミリアノ・ラミエスが容疑者として浮かび上がってきた。どうやら、殺人の動機は彼女のダビドに対する性的志向への疑いに関わっていたようだ。
彼は彼女を枕カバーで絞殺し、死体をヤリタグアとバルキシメトの間にある古い道の脇のサトウキビ畑に打ち捨てた。

彼は恋人を殺したことは自白したが、バイセクシュアルであることについては沈黙を守っている。

当局はこの殺人の動機は痴情のもつれであると指摘している。そうですか。

腐った町に救いはない

PranWifeルイジグ・オチョア(カラエ・ムエルトとして知られる)が15発撃たれた(うち3発は顔面)。16発と17発目は魔除けのためだった。
彼はマラカイで数人の男にバイクと持ち物を出せと囲まれた後で殺された。

ルイジグは刑務所を去った後、ウェブアニメのシリーズ『Carcel o Infierno(刑務所か地獄か)』を発表して、知られるようになった。ベネズエラの刑務所の実情が容赦なく生々しい、非常に個性的で荒削りなアニメのスタイルで描写されている。このアニメは一見の価値がある。ただし、一言警告しておくと、数本のエピソードを見たら、おそらく人生の苦を少し和らげるために麻薬か何かにすがりたくなるだろう。

ちなみに、オチョアが殺害された当時の彼の愛人は、かの悪名高きモデルで女優で売春婦で刑務所を仕切るギャングの親玉の女、ロシータであった。*

*訳注)このロシータという愛称のポルノ女優は、トコロンの刑務所を仕切るプランの脱走に関わったとされている。ベネズエラの刑務所は完全な無法地帯で、刑務所の外壁は政府当局が管理しているが、刑務所の内部は受刑者で構成されたギャングのボス(ベネズエラではプランと呼ばれる)によって管理されている。

この殺人は一般的な犯罪とされているが、状況やオチョアが以前いた刑務所のプラン(刑務所を仕切っている親玉)が残した怪しいメッセージから、これはよくある強盗殺人ではなく、復讐なのではないかという人もいる。ふぅ。

8月1日から8月8日までの間で、ベジョモンテの遺体安置所には103体の死体が運ばれた。はっきりと分かるように、文字で書いてみていいだろうか。一週間で百と三人が変死したのだ。ここで取り上げた事件の中で、ハリウッド風の殺人だけは(ありがたいことに)毎日起きるタイプの殺人ではない


<翻訳者メモ>
一部、あらかじめ事件の前後関係を知らないと分からないエピソードがあったので、その部分は省略しました。全文を読みたい人は元記事The Week in Bulletsを見て下さい。

個人的には、最後のルイジグ・オチョアが殺されたことがショックでした。2012年に彼の実体験を元にしたアニメがバイラルとなったときのことを、今もよく覚えています。このアニメを見て、私は初めてベネズエラの刑務所がどんなものであるのか理解できたので。言葉が分からなくても、雰囲気はよく分かるので、ぜひ一度見てみて下さい。

また、ベネズエラで抗議運動を行っている学生が逮捕され投獄されたというとき、その行き先はこのビデオのような場所であることは頭に入れておくべきでしょう。

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