日々の暮らしの中で

べにこ

ベネズエラの事情は日々刻々と変わっていくので、とても追いついては書けない。
だからニュースは香奈子さんにまかせて、私は見たこと、聞いたこと思うことを綴っていこうと思う。
だだし日本人としてみるので、一般のベネズエラ人が思うこととは違っていることもあるかもしれない。そこのところはご了解を願いたい。

最近は特に治安が悪いので、できるだけ必要のない外出は控えるようにしている。それでも何やかや用事ができて出かける日々が続く。そのたびに、道行く人の手に提げた袋の中身を見ては、ついついスーパーに立ち寄ってしまう。

おとといはお米、きのうは油、今日は砂糖、とそれぞれ違うスーパーで4づつ手に入れた。これで数ヶ月は安心だと思うのだが、それでも来年の初めには、もう何も食べるものが手に入らなくなるという。本当か嘘か?
そんな噂を耳にすると、また心配になってしまう。

昨日、スーパーで目にした光景。
カートにハムやチーズ、肉、ビン、缶詰類を 山ほど積んだ40歳ぐらいの女性が、商品を棚に並べていた男の店員を相手にわめきたてている。「一人当たり4本の油なんかすぐなくなってしまうからもっと欲しい」と。すると、顔なじみらしい店員は声を低くして、「今度入荷した時は一箱取って置いて、レジにいる女の子に黙認させるようにする」と囁いた。
たぶんその女性はチップと称して、彼にいつもたくさんお金を握らせているのだろう。

近くに高級スーパーがあるのに、金持ちそうな女が庶民の行くスーパーで買い物するのか腑に落ちなかったが、チラッと見ただけでも、少なくとも100ドルぐらいの食料がカートに入っていた。
普通の人は20〜30ドル買うだけでも叫び声を上げるぐらい高いのだ。ほんの半年前ではその3分の1くらいで買えたのに。(ちなみに今日のドルの闇レートで換算すると、最低賃金は一ヶ月50ドル前後。この一週間でまたお金の価値が10%下がってしまった計算である。)

毎日、主婦、旦那、子供、ばあさん、じいさん家族全員総出であちこち探し回っては財布の小銭を数えて金を出し合い、どうしても必要な食料品のみを買い求め、何とか生き延びている人が殆どの今、ぜいたく品をはみ出すように積んだ満杯のカート一はとても目立つ。
たぶん甘い蜜を吸って笑いが止まらない成金か、他人の気持ちなど分らぬ人なのだ。

この前も、肉屋の前で並んで開店を待っていたら、後ろで並んでいたと思った人が、中に入ったらもう買い物を終えていて、アレッと思った。誰かに金を掴ませて裏口からそっと入ったらしい。

また、杖をついて足を引きずった60歳ぐらいの女性が、勘定を払う長い列に並ばず、前にいた人たちを横目に堂々と横割りして金を払って出て行った。でも、その後すぐ見かけたときは、杖なぞ持たずさっさと歩いていた。
そんな人を見るたびに本当に悲くなってしまう。

そして、その日スーパーで見かけたのは、いつも通る交差点にいる新聞売りのおじさんの顔だった。何年も同じ場所に立って日に焼けた顔は真っ黒だ。たぶん朝早く新聞を売って、午後は他の仕事をしているに違いない。
手に提げたかごにはトイレットペーパーと砂糖、粉、ジュース等少々、そして片手に一匹の鶏の袋を掴んでいた。
彼が新聞を売って稼いだ金で買えるものはほんのわずかだろうに、皆と同じお金額を払わなくてはならない。家に帰ればお腹をすかした子供達が待っているのかもしれないと思うと、本当に気の毒になった。

それに今、薬局では大半の薬が全然手に入らなくなっており、皆とても困っている。
外国に家族や知り合いがいる人は買ってもらっているというし、マイアミから空港便で取り寄せる新しい商売もできたらしい。払える人は何とかしているようだ。

でもその可能性の無い大半の人たちはどうしろというのだ。

昨日、16歳の女の子が必要な薬が見つからず死亡したとラジオで言っていた。
公立病院にはもう手術に使うガーゼさえなくなっているというが、患者を自分の病院へ運んで手術をする心ある医者もいるという。(ここでは殆どの医者が公立と私立の病院をかけもって働いてる)。

人間とは、生きるということ、命の大切さなどをつくづく感じる毎日である。

[『物不足がベネズエラ人を狂わせた』:このビデオは1年前の様子で、現在はさらに悪化している]

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