大臣の子守りのスキャンダルから見るチャベス派の人々の腐敗

スキャンダルにならないスキャンダラスな事件ふたたび

Another scandalous non-scandal
2014年10月29日 Juan Cristobal Nagel

現在進行中のエリアス・ハウアの子守りが関わるスキャンダルは、私たちブロガーに対して難題を突きつける。これほど多くのスキャンダルにならないスキャンダラスな事件について書いてきた後で、まだこの手の事件に対して何か書くべきことがあるのだろうか?

結論から言えば、まだまだ書くことはある。

話の展開についていけていない人のために説明すると、エリアス・ハウア(元副大統領、外務省大臣、元ミランダ州知事、現自治省大臣で、目につく限りでは最もハイランクに位置するチャベス派の人間)は、自分の子供たちの子守りとしてヤネス・アンサという名前の女性を雇っている。
どうか、彼女のFacebookの一般公開されたページを見てほしい。特に彼女が訪れた場所!(彼女のFacebookページはこの記事が投稿された数時間後に閉鎖された)

アンサさんはPDVSA(ベネズエラ国営石油会社)の飛行機で、ハウアの義母と一緒にサンパウロに上陸した。どうやら、ハウアと夫人がサンパウロにいたのは、ハウア夫人が有名なシリオ・リバネス病院で何らかの病気の治療のために入院中であるためのようだ。子守りの女性と義母がサンパウロに到着したとき、彼女のバッグの中に未登録の銃があるのを見つけて当局はびっくりした。彼女は法律にひっかかってしまった。

ネルソン・ボカランダというスター記者のおかげで、これらに関する詳細の多くが判明した。例えば、今分かっているのは、そのバッグにはいくつかの政治戦略に関する文書が入っていたこと、そのうちの一つが、政府がどのように2015年の議会選挙を使って「反政府派を全滅させるか」という計画についてであったことなどだ。この文書の実際の内容についてはまだ分からないが、もしそれが公開されれば、記事にするつもりだ。

言わずもがな、この事件についての疑問は尽きない。

第一に、当然の疑問なのだが、なぜこの子守りとおばあちゃんは、どう見ても私的な目的のために、政府専用機を利用していたのだろうか。
偉大なナキが疑問に感じたように、ハウアの銃の許可証が、政府が全ての銃の許可証の発行停止を発表した後の、2012年に発行されているのはどういうことなのか、と思う人もいるだろう。
それに、当然ながら、政府の「社会」計画の一環である自治省の大臣が、PSUV(ベネズエラ統一社会党)の選挙戦略を担っているのはなぜか、と疑問に思う人もいるはずだ。まさか・・・コミューン*はただの公的資金を使った政府の投票推進運動の隠れ蓑にすぎないとか。いやいや、まさかそんなことあるはずがないだろう。

そして、これはナキや他の人は疑問を呈していない点だが、なぜハウア夫人はラテンアメリカでもトップクラスの病院で治療を受けているのだろうか。
La Razónによれば、ベネズエラでは大臣の月収は4200米ドルだそうだ。ハウア氏はこの15年間公務員である。一体このような給料で、どうすればハウア夫人を海外で最上の治療を受けさせることができるのだろうか?他の公務員の妻たちも同様の治療を受けられるのだろうか?このような支出をカバーするのに、一体彼はどのような補助手当を受けとっているのだろうか?
夫人は国に接収されたセメント会社の社長だったはずだが、それも去年辞職している。彼女はまだここの保険を持っているのだろうか?

公人が受ける医療ケアについて疑問を呈するのが悪趣味だということは、私も分かっている。だけど、それもまた必要なことなのだ。この一連の事件は腐敗の悪臭がぷんぷんするにも関わらず、最終的にこの件に対して何もなされないだろうという事実は、ベネズエラの公共空間の腐敗の度合いがどれほど深刻かを表している。

当初この件について実は書かないつもりでいたことは、最初に書いた。朝食の時に妻のカティが私に言ったように、「この記事を書いて、誰を納得させようとしてるのよ?チャベス派の人はこれでOKって思ってるに決まってるじゃない」ということなのだ。

彼女は正しい。政府を支持する人々は、現にこれは良いことだと思っている。彼らは選挙に勝ったのだし、勝者には戦利品を・・・全部持ってけ、だ。ベネズエラは麻薬*クレプトクラシーになってしまった。
しかし、控えめに言っても、そんな政府を支持する人々にも倫理的な問題があるのは明らかだ。ヤネス・アンサのFacebookページに「disfruta mientra puede para eso es la vida(楽しめるときに楽しむのよ。そのための人生なんだから)」というコメントをしている人がいたように。

訳注* ここでいう麻薬は、政府(特に軍)が麻薬の密輸に深く関わっていることから。

いや、違う。人生は「楽しむため」だけのものではない。制限もあれば道義も必要だ。チャベス派の人たちはこのことを分かっているのだろうか?

突き詰めれば、この投稿は「こっち側の方が良い」とチャベス派の人々を説得する必要性を今だに信じる人々に向けたものといえる。だけど、そんな説得が本当に可能だろうか?一体どんな説得であれば、ハウアの子守りのぺてんには何の問題もないと考えるような人々に伝わるのだろうか?

この悲劇の歴史に、このスキャンダルにならないスキャンダラスな事件もまた一ページを加えることになるのであれば、ここで私たちは自問する必要がある。今なお、あちら側にいる人々を納得させる価値はあるのか?彼らは、私たちと基本的な価値観を共有しているのか?これほど明らかな汚職事件に対して基本的な疑問を呈することすらままならない休眠状態にあって、一体どの点において、チャベス主義は正当な為政者として受け入れられるのか?

さらに言えば、ウーゴ・チャベスの大統領として最初の年の主要な課題の一つが私用のための政府専用機の利用であったことは、彼らにはどうでもいいのだろうか?それとも、上のビデオのことなど覚えていないのだろうか?

私は対話を信じている。あちら側に対して働きかけることに意味があると信じている。しかし、彼らは彼らで、私たちに対して自尊心を見せることで、自分たちが敬意を表するに値する存在であることを示すべきだと思う。

チャベス主義者と宥和策を主張する人たちに言いたい。まずは革命における不正な行いに対する最低限の疑問を呈してほしい。調査を要求してほしい。それから、話をしようじゃないか。

政府のお金で旅行し、人生を存分に楽しんでいるハウア大臣家の子守りのアンサさん


訳注* コミューンについて

コミューンとは、コミューン評議会と呼ばれる居住地区単位で集まった住民によって自主的に維持、運営される市民会議を統括する機関である。コミューン評議会の目指すところは、選挙で選ばれた議会や知事などを通じた政治ではなく、人民による直接民主主義であった。

ローリー・キャロル著『ウーゴ・チャベス ーーベネズエラ革命の内幕』によれば、「2010年の時点で、全国に約3万1000のコミューン評議会があった。(p.240)」コミューン評議会は、理論的には市当局から独立した組織であり、チャベスは市長と州知事にコミューン評議会へ干渉しないように指示していたが、「もう一方で、評議会に市長選挙と州知事選挙で政権党候補を応援するように命令していた(p.245)」りと、矛盾を抱えた組織であった。

そのコミューン評議会を統括する組織としてコミューンは位置付けられており、チャベスが死の直前に最も力を入れていた組織の一つだった。コミューンには多額の資金が投入され、様々な計画が立ちあげられたが、その多くが計画倒れであり、実態を伴っていないと言われる。そのため、コミューンの意義について政府が力説する一方で、実際にどのような組織なのか誰も知らないというおかしなことが起きている。

このコミューンを統括するのが自治省大臣(コミューンのための大臣)だが、コミューン自体が具体的に何をしているのか分からないため、自治省大臣の実質的な役割も全く不明である。

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