アメリカのベネズエラに対する制裁措置に賛同する

We applaud the sanctions
2014年12月18日 Juan Cristobal Nagel

今に至るまで、ベネズエラで人権侵害を行っている人々に対して課される制裁措置メネンデス・ルビオ条例に対して、当ブログとして判断を下すことは控えてきた。しかし、それももう終わりだ。Caracas Chroniclesのブロガー全員が、この制裁措置には反対すべき点は見当たらないという意見で一致している。

この法案は一部の個人を対象にしたものである。したがって、これらの制裁措置がベネズエラ国民に損害を与えるという考えは、完全なたわごと、それ自体が完全なプロパガンダでしかない。それをなお繰り返し主張する人は、まず色眼鏡をとって、法案の内容をしっかりと読むべきだ。もし、この法案が何らかの形でベネズエラ経済に損害を与えるのであれば、当然のことながら、私たちは反対するだろう。だけど、そうではない。だから、私たちは反対しない。

さらに、この法案自体が制裁を課すものでもないのだ。制裁を課すことができるのは大統領と米国務省だけであるため、まだ制裁が実行に移されたわけではなく現時点では、まだ脅しの段階なのだ。

中には、この制裁によってチャベス派たちが一致団結し、「帝国主義者」を批判する格好の機会を与えることになり、ベネズエラ政府の思うつぼだと主張する人もいる。私たちはその意見には反対だ。もっともな主張ではあるが、この制裁措置によってチャベス派がより強固になるというのは、あまりに誇張がすぎるし、証拠も不十分だ。何かがチャベス派をより「強固な」ものにするというのであれば、それは何にしろチャベス派の「団結が弱まっている」場合のことでなければならない。そんな証拠がどこにあるのだろう?どこにもない。*

*訳注) チャベス派の「団結が弱まっている」というのは、キューバと繋がりの深いマドゥロ大統領と、それに次ぐ実力者で軍との繋がりの深いディオスダド・カベジョ国会議長の間の対立の噂のことだろう。多くの人がこの噂を事実として考えているが、具体的な証拠があるわけではない。

この制裁措置がマドゥロの人気を高めることになるという点についていえば、私はベネズエラについて長年書いてきたが、外交政策問題が世論に本当に変化をもたらしたケースを未だに見たことがない。国民は自分たちの生活必需品に関わる問題については敏感だ。だけどルイサ・オルテガ*のビザについては・・・そうでもない。

*訳注)ベネズエラの検事総長(司法長官)で、2013年にはパリの高級ブティックで買い物する姿が目撃され、社会主義革命の政府高官のブルジョアぶりに批判が集まっていた。

あぁ、それから、アメリカはチャベス派の宣伝機関によってスケープゴートにされる、と言う人もいるだろう。政府は経済危機をこの制裁措置のせいにして、何とか逃げ切る気だ、と。

確かに、このプロパガンダ的な様相はすでに見え始めている。だけどね・・・何だろう?私たちはすでに「経済戦争」というプロパガンダをここ一年以上ずっと聞かされているわけで。確かにチャベス派は嘘をつくだろう。確かにチャベス派は帝国主義を非難するだろう。彼らはいつでもそうだ。でも、そうしたからといってマドゥロの支持率が下がるのを止めることはできなかった。この人には国を治める能力が皆無なのだから、どれだけ大量のプロパガンダを用いてもそれを隠すことは不可能だ。国民はそこまでバカじゃない。

実際、制裁措置によっていくつかポジティブなことを達成できるのだ。制裁措置はアメリカに交渉の材料を与える。これはアラン・グロス*がキューバにとって交渉材料となったのと同じことだ。これはチャベス派の間に小さな亀裂を入れるかもしれない。この法案の影響を受ける人の中で、この社会主義革命の馬鹿騒ぎに参加したことを真剣に後悔する人が結構いるだろうことは疑問の余地がない。上から下までルイ・ヴィトンやカルティエで着飾ったベネズエラの政府高官の奥さん方を一度でも見かけたことがある人なら、私の言わんとすることが即座に分かるだろう。

*訳注)キューバで囚われていたアメリカ人

最終的には、この法案の真の目安となるのは、これによってレオポルド・ロペスとその他の政治犯たちの解放につながるのか否かだ。ベネズエラ政府の側が完全に沈黙を通し、この問題について腰を落ち着けて話す気が全くない様子を考えても、ロペスやその仲間に対する現在のひどい待遇を考えても、ロペスや彼同様に囚われた人々にとってこの法案がどれほど事態を悪化させる原因になるのか、ちょっと分からない。

この法案は正しい方向に向けた一歩だ。私たちはアメリカの議会を支持し、ベネズエラ政府には政治犯の解放するよう強く求めるものである。


<翻訳者メモ>

12月18日、ついにアメリカのオバマ大統領がベネズエラの政府関係者に対する制裁についての条例にサインしました。アメリカのベネズエラに対する制裁というと、反米を掲げるベネズエラに対するアメリカの制裁措置というイメージを抱く人は多いでしょう。社会主義革命を経済の力で叩きのめそうとするアメリカの姿をイメージする人もいるかもしれません。

しかし、実際の内容はそうではありません。

制裁の対象となるのは、今年の2月から5月の間に起きた反政府抗議デモの際に暴力的な鎮圧により死者を出し、数々の人権侵害を行ったベネズエラ政府の一部の高官です。具体的な制裁の内容は、特定の政府高官に対するビザの発給停止やアメリカ国内における政府高官の資産の凍結などです。これは対象者リストに入っていない一介の公務員や政府と無関係の国民には全く関係のない話です。

この点が北朝鮮やキューバに対して行われていた経済制裁とは根本的に異なっています。キューバ国民は長年に渡るアメリカの経済制裁により苦しめられてきましたが、今回、アメリカはこの外交政策方針を変更し、キューバとの国交正常化に舵を切りました。その意味では、この外交的な大転換と、ベネズエラ政府に対する制裁は一貫しているとも言えます。つまり、国民に無駄な苦労を強いるような制裁はしない。問題のある政府高官だけをピンポイントで制裁の対象にする、ということです。

アメリカ国内におけるベネズエラ政府高官の資産の凍結といってもピンとこない人もいるかもしれませんが、ベネズエラ人の富裕層は昔からマイアミなどに豪邸を持っていたり、アメリカの銀行に資産を保有している人が多く、これはチャベスの社会主義革命後の政府高官についても同様です。

ちなみに、経済停滞に伴い、マドゥロ大統領は政府高官の減給を発表していますが、こんなのはただのポーズに過ぎません。というのも、政府高官が実際に財産を作っているのは給料によってではなく、外貨の正規レート(1ドル=6.3BsF)と闇レート(1ドル=173.52BsF:12月25日現在)の差額を利用したアービトラージの儲けだからです。現在は外貨不足が本当に深刻なので、一体どのレベルまでの政府関係者が公定レートにアクセスできるのかは不明ですが。

とにかく、この制裁が、ボリガルキアと呼ばれるような社会主義革命に乗じてひと財産もふた財産も儲けた政府高官たちにとって大きな痛手となることは疑いの余地がありません。だからこそ、ディオスダド・カベジョ国会議長によってニューヨークタイムズに寄稿された制裁措置反対の抗議の記事を見ると、自分が盗んだ金を守ろうと必死だな、と思わずにはいられないのです。

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