苦悩の日々

べにこ

しばらくべ日子の日記を書かなかった。

忙しくて書けなかったのではない。それどころか世界に知ってもらいたい事件が刻々と起きている。でもどう説明すればいいのか。書く気力も出てこなかったというしかない。

大半の国民が魂を抜き取られたような思いで無言で耐えている。

たとえば。3年前あなたの月収が30万円だったとする。それが2年前には6万円、去年の10月には3万円、そして今月に入り約一万円の価値しかなくなったと想像してみてほしい。おまけに世界最高のインフレ率60%、世界一生活コストが高く、世界一治安の悪い国に住んでいるとしたらどんな気持ちになるだろう。

今日のレートで計算すると、ベネズエラの大学卒の初任給は2千円ぐらいで、国立大学の15年勤務の教授の給料さえ7千円くらいになる。5月ごろには価値がさらに30-50%減るという予想もある。政府の経営する一番安いスーパーで長時間並び、身分証明書を調べられ指紋をとられるという惨めな思いをして、棚に残っているわずかな食料品を手に入れたとしても、毎晩家族が満足して眠りにつけるわけがない。

今朝のニュースで、マラカイボの小学校の先生が授業を補助教員に任せ、毎日スーパーに長時間並び食料品を買い込みそれを行商する仕事をしていると言っていた。月給を一日で稼ぐことができるからだ。

近くのスーパーでもバイクが何十台も止まっている。そこに険しい顔をした若い男どもが沢山たむろっている。彼等は定職がなくてバイクでの簡易タクシーをして生計を立てているのだ。
しかし、今はバチャケロ(大きい蟻のこと)とよばれる行商をするほうが稼ぎがあるので、一日スーパーの周りをうろうろして時間をつぶし、目ざとい商品をつんだトラックが到着すると大蟻のように群がってくる。

だから私は食料をスーパーに買いに行くことが苦痛になっている。砂糖やコーヒー、米、粉、主食のとうもろこしの粉、トイレットペーパー、各種洗剤、肉類が搬入されると、あっという間に携帯で情報が流れ、またたく間に長蛇の列ができる。そして割り込み、ののしり、暴言、口げんか、時には暴力で奪い合いが始まるときもある。

どんなにまじめに一生懸命はたらいても、最低限の尊厳と人権が与えられないとき人は生きる気力を失う。将来に希望も夢も見ることができない。身も心も健全な生活を保つためには衣食住、仕事、医療制度が保障されているべきだ。心配と不安と動揺の生活では心の均衡を保つことは容易なことではない。

そんな家族の中で育つ次の世代を担う若者、子供たちのこと、この国の将来を考えると、気が滅入らない方がおかしいだろう。

今それがベネズエラで実際に起きていることなのだ。

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