チャベス主義はなくならない。でも当のチャベス派は…(追記あり)

diosdado99
前回紹介
したように、野党だけでなくチャベス派内にも牙をむくマドゥロ政府。それに反発するチャベス主義者たち。これを野党はどのように捉えるべきでしょうか。ラウル・ストークはこれを利用しようと言います。

ここ二日間でマドゥロとカベジョは、先に退職を求めていた最高裁の裁判官に代わる新たな裁判官を任命したり、授権法を通じて国民議会を無効化しようとしたり、国会テレビを取り上げたり、「路上議会」*を通じて国民議会とは別の議会を設立するといった、血迷った案の数々を進めている。

*訳注)おそらくこの「路上議会」を実現したものと思われるのが、国民によって選出されていない、チャベス派の人々による平行議会のこと。

ディオスダドのスタンスは、いつものことながら、怯えた獣のそれだ。追い詰められると自分の最大の武器を使って攻撃してくる。すなわち、弱いものいじめである。ディオスダドのメッセージはこうだ。新国会からできる限りの権限を奪ってやる。それも、この新国会のために投票した国民の名において。本当にもうこのおっさんは…(とはいえ、チャベス派が自分たちはこれを「国民のために」やるのだと言いつつ、結局は単に「革命を守る」と言っているだけという点に注意。)

マドゥロの戦略は少し違う。こっちはただ狂ってしまった。マドゥロは思春期前の12歳の子どもみたいにプエブロ(国民、大衆)を非難し始めた。「みんなに家を提供するつもりだったんだけどねー。今でもやろうと思えばできるよ。でも支持してって頼んだのに、みんな支持してくれなかったよね」と言うと、流血だなんだと脅しだしたのだ。

これらの非難は野党側に向けられているのではない。マドゥロとディオスダドが嫌すぎてチャベスの遺産を捨てることに決め、野党に票を入れたチャベス派の人々に向けられている。

マドゥロとディオスダドにとって脅威となっているのは、他でもないチャベス主義自体なのだ。

カラカスに行って、誰でもいいからリベルタドールの通りにいる人にホルヘ・ロドリゲスやウィンストン・バジェニージャについてどう思うか聞いてみればいい。以前は国営テレビでも大人気だった面々だ。あるいは、チャベス家の人間についてどう思うか聞いてみればいい。「あの腐った奴らめ、国をめちゃくちゃにしやがって」という返答と一緒にクリオージョ特有の罵倒語が返ってくるはずだ。ただし、誰もが必ず「チャベスがいたらこんなことは起きなかったのに」と添えるだろう。

チャベス主義はなくなりはしない。私たちはこのことを受け入れなければならないし、さらには利用すべきだ。

チャベス主義を利用するというのは、チャベス派の人々を騙してスモランスキー支持者にするということではない。そうではなく、チャベス派の人々に制度内において居場所を与え、チャベス主義を愛し守らせてあげることだ。チャベス主義や政府に繋がるものは全て同じだと言う人は多いかもしれない。だけど、議会でポジョ・カルバハルのように麻薬密輸組織の主要人物と目されて人物と取引するのと、対照的なエクトル・ナバロやニクメル・エバンズのような人物と取引するのは(これはこれで苦痛かもしれないが)、決して同じだとは言えないと思う。

現在、チャベス派の中でも「イデオロギー信者」はアポレア*と同じ嫌な立場に追いやられている。(ちなみに、アポレアがここ2日で出している記事はかなり興味深い。)彼らはベネズエラ統一社会党(PSUV)幹部から裏切りものと非難されているのだ。

*訳注)アポレアはチャベス主義のイデオロギーを全面に押し出したメディア。ただし最近マドゥロに対して批判的な記事を出し始めた。最近ではマドゥロの妻の甥が麻薬密輸の嫌疑で逮捕されたときには、アメリカのメディアの報道を伝え、みんな度肝を抜かれた。革命の敵、帝国主義者のメディアをアポレアが引用するなど、以前なら全く考えられないことだったからだ。

Saving chavismo(チャベス主義を救う)2015年12月10日 Raul Stolk

ちなみに以前からマドゥロに対しては批判的だったニクメル・エバンズのマレア・ソシアリスタ(社会主義の潮流)は、選挙後に、改めてマドゥロに経済改革を求め、マドゥロの政治はチャベスに対する裏切りだと批判、国民投票の可能性まで示唆しています。

さらに政府の風向きが悪くなっているのを見てか、新国会が始まる前から早々と国会議員をやめることにしたチャベス派の政治家もいます。

チャベス派が今後もなくなることはないでしょう。ですが、当のチャベス派はすでに一枚岩ではなくなっています。このゴタゴタはまだまだ続き、さらに酷くなるでしょう。マドゥロら政府高官の動きだけでなく、チャベス派内の下っ端の動きが今後どうなるか、それが野党の政治戦略にどのような影響を与えるのか、要注目です。

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